飲食店のコンセプトづくりと集客|6業態12店舗の経営者に学ぶ「思い出」を届ける店

飲食店のコンセプトづくりと集客|6業態12店舗の経営者に学ぶ「思い出」を届ける店

「集客のために何をすればいいのか分からない」「口コミやSNSの施策を試しても、売上が一時的にしか伸びない」

そんなときこそ見直したいのが、お店のコンセプトです。本記事では、アサイーボウルやベーグルを主軸に6業態12店舗を展開する株式会社AndTime 代表取締役・久保友哉さんと、MeRISE代表・古市の対談から、成長を支えた店づくりの考え方と、集客に悩むお店へのヒントを整理してご紹介します。

この記事で分かること

  • 久保さんが17歳から6業態12店舗に至るまでの歩み
  • 夜だけ営業のアサイーがヒットした背景
  • ルールを絞った接客と、地域に根差す出店の考え方
  • 「五感プラス思い出」を形にする具体的な店舗の工夫
  • 集客に悩んだときに立ち返るべき問い

結論:集客に悩んだら「何を届けたかったのか」に立ち返る

対談の中で久保さんが集客に悩むお店へ贈ったメッセージは、とてもシンプルでした。小手先の施策に走る前に、そのお店で何を届けたかったのかを深掘りすることです。

デリバリーを始める、口コミを短期間で大量に集める、といった施策で直近の売上は上がるかもしれない。でも中長期で考えるなら、何を届けたかったのか、それを届けるために何を掛け算するのかを本当に考えることが大切。(久保さん)

ここからは、久保さんがどのようにして「届けたいもの」を形にしてきたのかを、歩みと具体例に沿って見ていきます。

久保友哉さんのプロフィールと歩み

バーカウンターから自分の店へと歩む若き経営者
時期主な出来事
17〜18歳アメ村のアパレルで働いた後、裸足で入る「砂浜」コンセプトのバーに感銘を受け、夜の世界へ
19歳2年ほど社長のもとでビジネスを学び、独立・創業
19〜25歳業態を変えながらバーを6〜7店舗まで展開
25歳地元の焼き鳥店を引き継ぎ飲食へ。その後、夜の事業を閉じて飲食に一本化
現在アサイーボウル・ベーグルを主軸に6業態12店舗を展開

独立当初のバーは身内しか来ない小さなお店だったそうです。そこからいくつもの業態に挑戦し、属人性の高い業態だからこそ、業態を変えながらリスクヘッジしてきたと振り返ります。飲食への転換は、飲食業から上場企業の副社長まで務めた尊敬する経営者の後押しもあって決断されたそうです。

対談から学べる店づくりのポイント5つ

夜のカフェにアサイーを求めて並ぶお客様

1. 空白の時間帯を狙う:夜だけ営業のアサイー

アサイーの1号店は、予定していた堀江の物件が使えなくなったことから始まりました。スタッフも採用済みで時期も決まっていた中、選んだのが間借り営業です。

  • 堀江には朝から夕方まで営業するカフェが多い
  • 一方で、夜中までアサイーを食べられるお店はなかった
  • カフェ店舗を夜7〜8時以降に借り、「夜専門のアサイー」としてスタート
  • 営業時間を試しながら、最終的に深夜3時頃までに落ち着く

結果、夜だけの営業で500万〜600万円ほどの売上に。間借りのため初期費用もほとんどかからなかったそうです。当時はGoogleの口コミ獲得にも、スタッフ一人ひとりが全力で取り組んでいたとのことです。

2. 接客ルールは「笑顔で挨拶」に絞る

久保さんが接客で徹底しているのは、笑顔で挨拶をすること、声を出すことだけ。以前は接客の型をロールプレイで練習させていましたが、スタッフがロボットのようになってしまうためやめたそうです。その代わり、笑顔の挨拶だけは「できないなら出勤しなくていい」というほど本気で求めています。ルールを絞ることで、急速な出店の中でも軸がブレにくくなります。

3. 地域に根差して理念を濃く伝える

久保さんは19歳から大阪市西区に住み、事務所も西区。直営店は西区に集中させ、他エリアで通用すると判断した業態はフランチャイズで広げる方針です。短期目標は「西区が誇るトレンドのヒットメーカーになること」。

考え方特徴
勝てる業態を勝てる場所に置く立地で売上をつくりやすい。古市のクライアントに多い考え方
地域に根差して展開する理念やミッション・ビジョン・バリューを社員からアルバイトまで濃く伝えやすい

店舗が各地に散らばると、1店舗に社員を1人ずつ送り込む形になり、考え方が薄まりやすい。だからこそ地域で強固なチームをつくり、そのうえで他でも通用するものを育てる、というのが久保さんの考えです。

4. 理念を「体験」に落とし込む

会社のテーマは「五感プラス思い出」。夜の仕事で「また会いに来たよ」と言われることに魅力を感じた経験から、忘れられないお店をつくりたいと考えるようになったそうです。アサイーのお店では「思い出」と「かわいい時間」をテーマに、次のような工夫をしています。

  • 各テーブルに小さな鏡を置く
  • 呼び出し番号と一緒に砂時計を渡し、待ち時間を楽しみに変える
  • 時間内に提供できなかった場合は、無料券などのプレゼントを用意
  • お客様が自由に書ける「思い出ノート」を設置

久保さんは「味は大切だが、どこも美味しいのが当たり前。だからこそ体験はつくれる」と話します。思い出ノートには「北海道から来ました」といったメッセージが大量に集まっており、久保さんはこれを「売上と並ぶ会社の財産」と位置づけ、従業員にも伝えているそうです。

5. コンセプトに共感するファンを地道に積み上げる

久保さんの夜カフェは、神戸のマッチ会社がつくる「10分間だけ香りが広がるお香付きマッチ」に感銘を受け、直接交渉して生まれたお店です。お香を灯すときに「トークタイムカード」を渡し、その10分間はカードを題材に普段話せない深い話をしてもらう。マッチ会社の歴史も伝え、文化として楽しんでもらう仕掛けです。

普通のカフェとして使いたい方もいる中で、久保さんが特に大切にしているのは、週に何度も通い、友人を連れてきて「このコンセプトが素敵なんだよ」と紹介してくれる方々。こうしたファンを地道に積み上げることを、現場にも徹底して伝えているそうです。

目指すのは「思い出」を届ける回転寿司のような業態

思い出が回るレーンを囲む家族

久保さんの最終的な目標は、回転寿司のように幅広い世代の思い出に残るお店を、全国・世界に広げることです。子どもからお年寄りまで、家族でも友人とでも行けて、記念日にも使える。「思い出の装置 × 日本の食 × 全国チェーン」という業態をつくりたいと語ってくれました。回転寿司発祥の地が地元・布施であることも、久保さんにとっての大切なルーツだそうです。

子どもの頃に家族で行った記憶、学生時代に友人と「何皿食べられるか」挑戦した記憶。年齢や性別を問わず、どの世代の思い出にも入り込めるのが回転寿司の強みだと久保さんは話します。アサイーやベーグル、夜カフェといった現在の業態も、その大きな目標に向けて「思い出 × 飲食 × 日本の食」の形を模索し、レベルアップしている途中だそうです。

店舗数や売上規模から目標を語る経営者が多い中で、「思い出」という軸から夢を語る姿勢は、古市にとっても新鮮だったと言います。

夜の仕事で培われた「お客様に向き合う力」

笑顔で来店客を迎える店員

久保さんが飲食に転じてから短期間で成長できた背景には、夜の仕事で培った経験があるそうです。営業時間が長い中で、しっかり売上を上げるためにお客様一人ひとりに向き合うこと。そして、お客様が「自分に会いに来てくれる」ことの喜び。この経験が、現在の「忘れられないお店をつくりたい」という想いにつながっています。

また、業態ごとに届けたいものや評価の軸が異なるため、店舗ごとに「このお店で何を体感してほしいのか」を現場で体現してもらうことを重視しているとのこと。売上などの指標はもちろん持ちつつ、そのうえでプラスアルファの価値を現場に落とし込むことが、売上300万円のお店を500万円へ伸ばすうえでも大切だと話していました。

支援する側から見た、この対談の価値

MeRISEは、映像制作や広告運用といった形で飲食店様を支援する立場です。どうしても集客施策のアドバイスが中心になる中で、経営者ご自身から「何を届けるのか」という本質的な話を伺えたことは、古市にとっても大きな学びになりました。集客の手段は、お店の想いがあってこそ活きるものです。

自店で試せる「届けたいもの」見直しチェックリスト

届けたいものを考えるオーナー

対談の内容をもとに、集客に悩んだときに自店で確認したい問いをまとめました。

  • このお店で、お客様に何を届けたかったのかを一言で言えるか
  • それを届けるために「掛け算」している体験や仕掛けはあるか
  • スタッフ全員が守れるほどシンプルな接客の軸があるか
  • 待ち時間など、満足度が下がりやすい場面に工夫があるか
  • お客様の声や思い出を集め、スタッフと共有しているか
  • コンセプトに共感して紹介してくれるファンを大切にできているか

まとめ

  1. 集客に悩んだら、施策より先に「何を届けたかったのか」を深掘りする
  2. 競合がいない時間帯や体験に目を向けると、新しい需要が見つかる
  3. 接客ルールは絞るほど伝わり、ブレにくい
  4. 地域に根差すことで、理念をチーム全体に濃く伝えられる
  5. 理念は鏡・砂時計・ノート・お香など、具体的な体験に落とし込む
  6. お客様の思い出とファンの存在は、売上と並ぶお店の財産

MeRISEは、撮影・制作や広告運用を通じて飲食店様の集客を支援しています。お店が本当に届けたい想いやコンセプトを、写真や動画、SNSでどう伝えるか。その部分を一緒に考え、形にするお手伝いをしています。

お店の魅力を伝える集客のご相談はMeRISEへ

次のようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

  • お店のコンセプトや世界観をSNSで伝えたい
  • 新業態・新店舗の集客を相談したい
  • 施策を試しても売上が一時的にしか伸びない
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